きっと遊び過ぎて疲れが溜まっていたのだろう?

「両親に連絡しなくていいのか?」

「うん、どうせ……連絡つかないから」

「ああ、海外に行ってるんだったっけ?」

「そう……知ってるよね、幼なじみなんだし……」

「あ、ああ……そうだったな」

「……雫、今日から4月だね。こんな日に風邪ひいちゃうなんてね……」

「どうせ新学期なんて、大した意味なんて無い。それより、ゆっくり休めよ」

 優実の両親は、海外で仕事をしているらしく、優実は一人で隣の家に住んでいるらしい。
 当たり前のように言う、優実。でも、俺は知らない。
 それは、俺が優実と出会った日より前の事……
 最近、そんなふうに優実に知らない事を突っ込まれる事がよくある。
 知らないって言うと、優実は悲しむ……だから、俺は優実に嘘を吐いている。
 嘘をついて、優実を悲しませないようにしている……
 だけど、嘘を吐くたびに……どこか、俺は、寂しい気になった。

「雫……ありがとう。でも、もう学校行かなきゃ、遅れるよ?」

「え? ああ、いいよ。俺も休む」

「え、でも……」

「大丈夫。母さんに適当にインフルエンザとか学校に電話してもらうよ」

 優実が居ないのなら、学校なんて別に行っても意味がない。
 ……学校に行ったって、文歌以外、誰も知らないしな。