目を開けて茶色い天井を見るようになってから、もうずいぶん経つ。
 もう、俺にとっては、それが当たり前になっていて……
 孤独なんか、微塵も感じなくなっていたように思えた。
 そう、もう俺には……
 今の日常が、当たり前だったんだ。
 当たり前を……必死に守っていたんだ……

 
「はっくしゅん!!」

「大丈夫か?」

「うん、ありがと」

 今日から4月に入り、学校が新学期になった日の事。

「37,8℃……やっぱり、熱があるな」

 朝、家に来た優実の顔色がすぐれず、体温計を渡した所、風邪をひいていた。

「うぅ……雫、学校に行かなきゃ」

「駄目だ、寝てろって」

 俺は学校に行こうとする優実を自分の部屋に運び、ベットに寝かせた。