「ちょっと、女の子ってぇぇえ、だれなの~~~っ!」

 優実の逆鱗に触れたようだ。

「痛ててててッ!」

 思いっきり頬を抓られて、俺は痛みで残っていた眠気も全て吹っ飛ばされた。

「ふぁ~~あ、おはよー。……相変わらず元気ね朝から」

「あらら~、おはよう文歌ちゃん。ちょっと聞いて、雫と優実ちゃん……昨日の夜、二人っきりでどこか行ってらしいのよぉ~~!」

 母さん、全部今の会話聞いてたのか!?

「へぇ~~、真夜中のデート……それはもう、楽しんだんでしょうね~!」

「あらあら、今日は赤飯炊かないといけないかしら~」

「おい、ちょ、違う!」

「雫……責任…とってね……」

「なに赤くなってんだよ!! なにもしてないだろ!!」

「へへ、ごめんねっ、冗談だよっ」

「解かってるわよ。雫みたいなヘタレにそんな度胸あるわけないじゃない」

「うるせ!」

「あ~ん、ママ残念」

 起きた瞬間から、相変わらず騒がしい。
 だけど……まあ、いいか。

「じゃあ、今日も一杯、遊ぼうね~っ!」

「……家の中でな」


 こうして、冬休みエンジョイ計画は実行されていき、俺は騒がしくも楽しい日々を送り続けた。
 優実が言ってくれた、ずっと一緒に居る。
 その言葉は俺にとって嬉しい言葉で……でも、同時に……
 なにか、少しだけ、不安な気持ちになった。
 それが何なのか、俺にはまだ……解からなかった。