すっかりと日も落ちた頃、ペンションの中には肉が焼ける良いにおいが広がっていた。
「はい、お肉焼けたよ雫!」
「ありがとう、優実」
白銀世界の洒落た小屋で焼き肉。なんとも合わない組み合わせだが、今更だ。
「はいジュースだよ」
「ん」
母さん、優実、文歌と共に、かれこれ一カ月近く過ごすうちに、色々と慣れてしまった。
「あらあら、まるで奥さんみたいね、優実ちゃん」
「え……へへ、奥さん……」
「誰のだよ?」
「もう、解かってるくせに! あ、な、た!」
「いやー、ラブラブね~。よかったわね、あんたみたいなヘタレには勿体ないくらい、可愛い子で。愛想尽かされないようにしなさいよ」
「ふん。どうやったら、愛想を尽かされるのか知りたいな」
優実は照れくさそうに、少しずつ、椅子を俺に近づける。
こんな、バカみたいな会話が毎日続く。
それが、今の俺を囲む生活だ。

