ユメみる夢みる僕のキセキ

「……まったく、しかたないわね、ほらっ」

 その場から一歩も動こうとしない俺にため息混じりで文歌は何かを差し出してきた。

「こ、これは!?」

 文歌が俺に差し出したもの。それは今の俺にとって、画期的な品だった。

「ホッカイロじゃないか!?」

「そうよ。山に行くって言うから、持って来たのよ。アンタにあげるわ」

 もめば、もむほど温かくなるカイロ。これを服に入れておけば、体温で更に温まる。

「助かったぜ!! ……でも、外は嫌だ」

「えぇ、何で!?」

 確かに温かいが、一歩外に出れば、焼け石に水程度のものだ。

「遊ぼうよ!! 昔みたいに、ゆきだるま作ったり、かまくら作ったりしようよ!!」

「昔か……」

 雪だるま、かまくら。たしかに昔は作った記憶がある。
 だた、それは優実とじゃない。

「ねー、行こうよ!!」

 でも、それを言うと、優実は悲しい顔をする。
 だから、俺は、言わない。