ユメみる夢みる僕のキセキ





 俺は何がしたいのだろう?
 雫。この世界では俺の名前であって、俺の名前じゃない……
 じゃあ、俺は誰だ?
 解かる訳もない。
 だって、一人で生きて来た俺には、自分の存在を確かめる事など出来る訳ない。
 認めてくれる人も、慰めてくれる人も、優しくしてくれる人も……
 愛してくれる人も居ないのだから。

「雫っ、雫ぅ――――っ!!」

 じゃあ、この人は誰だ?

「痛かったでしょ、寒かったでしょ……大丈夫よ……すぐに母さんが……」

 文歌と優実を家に送り、傷だらけで帰ってきた俺を見るなり、大騒ぎして、涙を流しながら傷を手当てして、抱きしめてくれているこの人は、誰なんだ?
 違うな、この人は自分の事を解かっている。解からないのは……

「……俺は誰だ?」

 目の前に居る人に俺は聞く。

「雫よ! 母さんの息子の……雫よ!!」

 雫。それは俺の名前……

「なあ、俺をよく見てくれ!」

 俺はもう一度、目の前に居る人の肩を掴んで聞いた。

「俺は本当に雫なのか? あなたの……母さんの知っている雫なのか?」

 雫。それは此処では俺じゃない人間の名前……

「間違う訳無いわ!! ハンバーグが好きで、ケーキが好きで、困っている友達を見捨てない……母さんの自慢の息子の雫よ!!」

 目の前の『母さん』が俺に向けてくれた温もりと涙は……偽物には思えない。
 だから……気付いてしまった。
 いや、違うな……。本当はもうとっくに解かっていたのかもしれない。