起き上がり、三人を起こさないように部屋を出ようとして、優実に掴まれている左手を放そうとした。
 すると……

「…ん…雫…行かないで……」

 そう寝言を言い。優実という幼馴染が更に手を強く掴んできた…。

「……はー……」

 無理やり手を解く気にもなれず、どうしようかと思い、ふとベットの上を見た……
 その時、信じられないものが目に入った!

「これは…俺か…!?」

 そこにあったのは写真。
 写っていたのは……両親だと言う二人と、その真中で笑って移っている……自分の姿。
 何故かは知らない。如何してかは解らない。でも、死んだはずの両親と初めて会った幼馴染の優実が、その人たちが言う「雫」は俺の事だった。

「どうなってるんだ…俺は……」

「ん、ん~っ! …ん、雫……――起きたの!?」

 横で眠っていた優実は、目を覚まして俺を見る。

「ああ」

「よかったぁ!!」

 俺が素気なく呟くと、優実は途端に嬉しそうな顔をして抱きついて来た!

「おい、放せ…」

「雫、起きたの!?」

 どうやら、今の騒ぎで他の二人も目を覚ましてしまった……

「雫ぅぅぅ!!」

「ぐおっ!?」

 案の定、母さんも父さんも俺に飛び込んできて思いっきり抱きしめられた。

「お…重いっーー」

 ――でも…温かい。


 壊れて動かなくなった目覚まし時計に表示されている日付は12月26日。
 その日。朝に目が覚めると、見慣れない天井の家だった。そこには死んだはずの母さんと父さんだと言う二人が居て、更には幼馴染なんて者まで居た。
 ただ、一つだけ言えるのは皆、俺の事を大切に思っていてくれる事。
 少しだけなら、此処に居ても、良いかもしれない。
 そんな事を、見知らぬ天井を見ながら思ってしまった……