「……ん…んん……」

 目を開けると、そこはまた、見慣れない、あの知らない家の天井だった。ただ、何か左手に違和感があった事以外は。

「……こいつ…ずっと居たのか……」

 視線を天井から左手に移すと、そこには手を握りベットの下で座ったまま寝ている優実という幼馴染。そして、その横には……

「母さん…父さん…」

 この狭い部屋の床で、マンガを枕にして眠る『父さん』と言った人。
 そして机の上で、ラップをかけた御粥の横で眠る『母さん』と名乗る人。
 みんな、ずっと居てくれたようだ。

「もう一人の「雫」、お前は…幸せ者だな……」