ユメみる夢みる僕のキセキ

「そっか……雫は、もう……ちゃんと、気が付いていたのね」

 母さんはゆっくりと俺を見ながら、近づいて来て、力強く、でも優しく、俺を抱きしめた。

「……ついこの間まで…小さくて、可愛くて……何をするにもわたしを頼る甘えん坊さんだったのに。……いつの間にか……ママの知らない内に…大きく格好良くなってたのね。……ママ、嬉しいわよ雫。そう、ママが雫に望んだのは一つ……ただ、今日を一生懸命に幸せに生きて欲しかったのよ。雫が幸せなら……ママはもう……それだけで幸せなのよ」

 俺を抱きしめている母さんの手は震えていて、顔は見えないけど……たぶん、泣いてるんだ。
 思えば、ずっと俺は母さんと父さんに酷い事をしていたのかもしれない。
 父さんと母さんが死んで直ぐに、孤独を作るため世界を壊し。
 大切な俺を思ってくれる人を忘れ、幸せを願って教えてくれた武術を道具に使って、あまつさえ最後には孤独を望んでおいて孤独の原因を母さんと父さんに追いやって逃げた。
 ……そんな、俺だ。幸せを感じた日々なんて、あの八年間には一度も無かった。
 そしてそれは、俺なんかよりずっと……
 何よりも俺の幸せを望んでくれていた母さんと父さんを苦しめる事と解っていながら。俺は……両親が死んでも直、二人を安心させてあげる事が出来なかったんだ。