ユメみる夢みる僕のキセキ

 母さんの質問に、俺は何も返せずそれ以上、何も言葉を出せなかった。
 その理由を、心の何処かで俺は既に知っている。

「雫……。どれだけ幸せな明日を望んでも、どうせ明日の事。明日なんてどうなるかすら解らないのよ……」

 わかってる。でも、認めたくなかった。

「人はよく、明日の為なんて言うけど……そんなのただ逃げているだけ」

 いつも、心の何処かで俺は思っていた。願っていた。
 もしかしたら、突然、こんな辛い一人きりの孤独なんて終わってしまって、幸せな明日が俺の前に訪れるかもしれない。
 一人きりで生きると決めていながら、心の何処かでそう……夢見ていたんだ。

「明日の為に幾ら、生きようとも……人が生きているのは決して明日なんかじゃない。どんな事があったって、どんなに辛くたって……人は何時だって――」

 そして、それも解っていたさ母さん。
 この夢の中で優実に出会って、父さんに出会って、文歌に出会って、母さんに出会った時に感じた。
 そうして皆と過ごしている内に気が付いてたんだ。
 だから、認めたくなかった。楽だったんだよ……
 明日さえ見ていれば、明日を見なければ覚めてしまいそうだったんだ。
 この……明日を望んでいた俺の前に不意に現れた……
 この世界が。
 1人で生きて来て……
 随分、変わってしまったんだな、俺は……