もう、日が高く上がった頃……

「いやー、すっかりと外も寒いわね~~、でも冬モノに変えるのも早いし……嫌よね、この季節」

「あらあら、それじゃあ、お昼はお鍋にでもしようかしら~」

「わぁ~お、お昼から鍋っ! さっすが雫ママ、わかってるぅ~~!」

「うふふ、ありがとう。じゃあ、さっそく準備するわね!」

「うん、楽しみにしてるわ~! ………ところで」

 母さんとお昼のメニューを決め終えた文歌が、ソファーに居る俺と優実の方を向いて何やら呆れた顔をした。

「………アンタ、その顔どうしたの?」

 文歌がそう言う通り、俺の顔は左頬の所だけ真っ赤に腫れあがっている。   ……自分でも鏡で見たけど何か間抜けな事になっていた。

「……ちょっと……幼なじみに吸われてな……」

「蚊に吸われたみたいに言うのね、アンタ……」

 そう、俺の顔をこんな風にしたのは……
 他でもない、さっきからずっと俺の頬に冷やしたタオルを押し当てている優美だ。