ユメみる夢みる僕のキセキ

 知らない家に入るとあの母親と名乗る人は俺に「寒かったでしょ」といい、温かいミルクを入れてくれた。
 そういえば、昔、よく本当の母さんが入れてくれていた……

「で、何をすれば母さんと認めてくれるの、雫?」

 出されたミルクに一口も手をつけない俺に、エプロンを外しながらそう言う。

「竹刀はあるか?」

 そういうと、母さんだと言う人は笑い、「当たり前でしょ!」と言いながら竹刀を差し出した。
 当り前か……たしかに、本当の両親ならそう言う……

「竹刀を持って、庭に出ろ」

「いいわよ」

「ちょ、母さん、雫!?」

 横で口を挟めず、ずっとこっちを心配そうに見ている父親だと言う男を無視して、俺は母さんと名乗る人と裸足のまま庭に出て向かい合った。

「死んだ、俺の両親は日本でも有名な剣術家だったんだ。もし、本当にあんた等が俺の両親だと言うのなら、俺に勝ってみろ!」

 母さんと父さんが死んでしまい。一人になって……たった一つ残ったのは受け継いだ才能だけ。
 それは、一人で生きていく上では役に立った……

「俺はこの間の剣道のインターハイで優賞した。普通の奴くらいなら、竹刀でも殺せる」

 この才能のおかげで、学校に通うのも特待生として金もかからない。……ついでに、馬鹿な連中も恐れて寄ってこない。

「怪我をしたくないなら…俺の両親だと言った事を撤回しろ!」

 そう…才能だけが……俺に残った…たった一つの……

「ふふ…雫と稽古なんて久々だわ。懐かしいわね……さあ、来なさい!」

 嬉しそうに俺に剣を構える『母さん』と名乗る奴……許さない!!

「死ねクソがああぁあぁ!!」

 才能だけ……それだけが…俺に残った、たった一つの、母さんと父さんが残してくれたたった一つの……俺の全てだ!