「……文歌」

「なに?」

「これ、夢だよね?」

「そうよ。でも……幻じゃない。まあ、解りやすく言えば、この世界でアンタが死んだら向こうでも死ぬわ。あと、痛みもね、この世界でボロ雑巾になったら、現実でもボロ雑巾よ」

「……へ…へえ……」

 そうだよな、この世界でも痛いものは痛かったものな。

「まずいだろ! 絶対にコレまずいだろ!」

 俺は身の危険を感じずには居られなかった。
 ならば、この騒動の中心核である俺達がこの場から居なくなれば、何とかなるかもしれない。

「おい、優実。此処から逃げるぞ!」

 とにかく、優実を連れて此処から逃げなくてはならない。

「えへへ……はい、誓いまぁ~~す……」

「優実ぃぃぃいいぃいいぃいいい!?」

 だが、優実は未だ幸せそうな顔で自分の世界から出て来てくれない。