ユメみる夢みる僕のキセキ

「どうした、雫?」

「あ、わかったお腹空いたんでしょう? 待ってなさい、今何か温かいものを……」

「いい加減にしろッ!」

 もう沢山だ、こんな茶番は!

「お前ら、誰なんだ!?」

「誰って……あなたのパパとママじゃない!」

「ふざけるなッ! お前ら、親だろ! なら……どうして自分の息子と他人を間違えられるんだ!」

 目の前にいる二人は…今日の朝、初めて会った見ず知らずの他人。

「雫…おじさんとおばさんが解らないの?」

 横にいるのは、同じ名前の「雫」と言う人物の幼馴染で……こっちも他人。

「お前らが、誰と俺を勘違いしてるかは知らない、でも俺の母さんと父さんは八年前に死んだんだ! それから……俺はずっと一人で生きて来たんだ! ……生きるしか無かったんだ……」

 何言ってんだ俺は……こんな見も知らずの他人に……

「お前らの探している雫は俺じゃない…っ! もう、俺に関わるな!」

 話を聞いていた三人は、茫然と突っ立っている。当り前か、まあ、これで付きまとわれる事はない。これで…一人に……

「一人じゃない…っ! そんな寂しいこと言わないで!」

 抱きしめられた。誰かも解らない「雫」の母さんに……

「あなたは一人じゃない。わたしが……お母さんがいる。お父さんも優実ちゃんも居る。一人なんかじゃないわよ!」

 一人じゃない。酷く、胸に響く……。
 もう、何を言っても無駄か……

「もし……本当にアンタ達が俺の両親と言うんだったら、……証明しろ!」

 そうしなければ…これ以上、俺はもう……耐えられない。

「いいわよ。でもその前に、優実ちゃん、雫を見つけてくれてありがとう。体中、怪我だらけじゃない。一回家に入りましょう。ほら、雫も!」

 母親と名乗る人がそう言うと、あの幼馴染だという女が…こっちをチラチラと見ながら頷き家の中に入っていく。
 そうか……優実というのはアイツの事だったのか。あさの教室の事を思い出し、全て納得した。
 その後、俺も嫌がるのを無視されて、無理やり家の中に入れられた。