『本当に?』

 ――誰だ? さっきの声の奴か?
 何処からか、俺の頭の中に誰かが問いかけてくる。
 でも、良く解からないけど……
 この声? 聞いた事があるような気がする。

『辛かったわね。幸せだった日々が消え去って、ある日急に暗く冷たい現実が押し寄せて……』

 ――うるさい。解ったような口を聞くな!
 ――お前に、解るのか……なにも無く、誰も居ない孤独の世界がどんなに辛いか!

『本当にそうなの?』

 ――なんだと?
 頭の中で、俺とその声は言葉を交わす。

『あなたは、本当に孤独が辛かったの?』

 ――お前……何言ってんだ…?
 頭の中で問いかけてくる奴が何を言っているのか解らない。
 その時……

「うああぁあぁああん! 嫌だよぉ~~…一人にしないでよぉ~~! ねえ、お母さんは何処に行ったの!? 僕のお母さんは何処に行っちゃったのぉ~~?」
 ……幼い俺は母親の棺の前で、泣き叫び始めた。

「おばさん、僕のお母さん、何処に行ったの!?」

「ちょ、やめなさい! し、知らないわよ!」

 親戚のババアは俺を突き飛ばした。

「うわぁ…! う……うわ~~ん…おじさ~~ん、僕のお母さんは…?」

「……さ、さあ?」

 親戚のジジイ共は俺から目を背けてどこかに行った。