公園から、30分ほど歩くとようやく見覚えのある通りに出た。どうやら、あの公園は、それほど離れた場所には無かったようだ。何も考えずに歩いていたら、遠回りばかりしてあまり遠くへは行けなかったようだ。……実に滑稽(こっけい)な事だ……
遠くへ行きたいと願っても、結局は近場で彷徨っていたってことだ。
それはまるで、今までの日常のように思えた。
横をずっと並んで歩いている女はずっと喋り掛けてくる。その言葉に一言も返答をしないまま、俺は歩いている。ただ、話している内容から、どうも俺では無い「雫」はコイツと幼馴染らしい。8歳のとき、小学校3年生のときに隣に引っ越してきて以来、ずっと一緒にいると言っている。
8歳、それは今から8年前。世界が……壊れた時…。
ふとそんな事を思っていると、すでに家は目の前まで見えていた。
家の前には、朝起きたときご飯を作っていた女性と、その人を母さんと呼んだ男性の二人が、泣きそうな顔で辺りを見回しながら立っている。
「ほら、雫のパパとママが心配してるよ!」
横にいた、もう一人の「雫」の幼馴染が、こっちを見ながらその二人に指をさす。
そして……
「おじさーん! おばさーん! 雫見つかったよー!!」
俺じゃない「雫」の幼馴染は、俺の横から大声でその二人に向かい手を振りながら叫んだ。
「雫ッ!?」
その声で、家の前にいた二人はこっちに気づき、大急ぎで走って向かってくる。
まさかとは思うが……
「ママ、心配したのよー!!」
「パパもだぞ雫ぅぅぅ!!」
目の前まで近づいても、家の前から走ってくる二人は全くスピードを落とさず、突っ込んで来 る…っ!?
「うわっ!?」
そのスピードのまま勢いよく二人に、抱きつかれ。俺はそのまま三人で地面に倒れこんだ。
「よかったぁーー…今日、雫が帰ってこなくて、更に学校での様子がおかしいって聞いて、ママ本当に心配だったー」
「パパも、それ聞いて仕事をサボ…休んで来ちゃったんだぞー」
俺の上で泣きながら二人は、俺に向けそう言う…。
「…っ…退けろッ!」
上に乗ってる二人を無理やりに退かし、俺はその場に立ち上がった。それを見て、退かした二人も立ち上がる。

