気がつけば、俺は織姫街にいた。
 なあ、頼むよ。
 最後で良い、これで最後でいいんだよ。
 お願いだ、もう何も願わないと誓うから……

「頼むよ神様……あの家で……優美と会わせてくれよ」

 地面を見ながら歩き、その淡い願いの場所に着いた俺は顔をあげた。

「……嘘付き。ずっと……ずっと、側に居るって言ってくれたじゃねーかよおぉぉぉ――っ優実ぃぃぃ!」

 やっぱり、あの場所はもう存在しない。
 昨日も見たさ、それで眠って……
 目を開いても、やっぱり、夢じゃなかった。
 本当に、夢は……あっちの方だったんだな。

 もう駄目だよ……俺にはあの夢が幸せすぎたんだ。
 もう、一人で何て生きていたくない……
 もう、優実の存在しない世界になんて居たくない。

 ――終わらせる、この壊れた世界なんてもう要らない!