死んだはずの母さんと父さんが生き返る?
 ある訳無いだろ。
 友達?
 俺なんかに、そんなの出来る訳ないもんな。
 何時だって優しい幼なじみ?
 そんなの……傷つけてばっかの俺を……
 見捨てない訳無いもんな……

「は……はは……なに、夢見てんだよ……俺……」

 朝に笑顔で迎えてくれる、家族なんて……

「居る訳ないだろ……雫」

 バカやって騒げる友達なんて……

「……出来る訳……無いだろ、雫……」

 俺を好きでいてくれる、いつも側に居る……
 優しい……っ……幼なじみ……なんてっ……

「…ぅ……っ…居るわけ……無いんだろっ……雫っ……」

 自分に自分でそう言っても……
 やっぱり、納得できないよ!!

「ぅ…うぅ……うあああああああああああああああぁぁぁ……母さん、父さん、文歌ぁぁ……なあ、会いたいよ…っ…優美ぃぃぃぃぃぃぃいい―――――っッ!!」

 鳴き声は、昨日まで暮らしていた……
 あの笑顔あふれる家の残骸で……
 ずっと、誰も返す事なく……木霊し続けた。


 
 この日、俺の心は崩れた。
 人生で2回も、大切な物を失った俺は……
 生きる事すら、嫌になってしまったのだった……。




第1部 ~完~