「嘘だ……嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁあぁっぁっぁあ―――――……嘘だ……」

 お願いだよ……誰か…嘘って言ってくれよ……

「うあああああああっ!」


 壁を思いっきりぶん殴った。何度も何度も殴った。壁が赤く染まるまで殴った。
 痛かった……

 全部、夢だったって言うのかよ……

 ずっと寂しかった俺を抱きしめてくれて、どんなに突き放してもずっと俺に微笑んでくれた母さんの温もりも……
 何よりも俺の事を考えてくれて、どんな事があったって俺の味方で居てくれる父さんの優しさも……
 意地っ張りで気が強くてガサツで、いつもケンカばっかしてたけど、絶対に友達を裏切らない文歌の強さも……
 出会ってから……最初からずっと、俺の事を見てくれた……こんな最低で何もない俺を好きだと言ってくれて……ずっと一緒に居るって俺の手を掴んでくれた優実もっ……

「全部、嘘だったっていうのかよーーーーーっーーーッッ!!!」

 ……ふざけんな、認めない。俺はそんなの絶対認めない!
 そして、俺は部屋から飛び出した。
 ただ、信じたくなかった。皆に、笑って冗談だと言ってほしかった……