――俺は……絶望の底に落ちた。

「何で……何で……この天井が!!?」

 もう見たくなかった……
 何千回もクソみたいに見続けた真っ白い天井。

「優実っ!」

 名前を呼んでも誰も返さない、誰もいない冷蔵庫とテレビと暖房器具以外何もない二度と戻りたくなかった景色。

「母さん! 父さん! 文歌!」

 その声はただ部屋に虚しく木霊するだけ……

「そ、そうだ……これは夢だ……」

 抓った頬は痛い……

「夢だ……夢だ……これは夢だ……」

 何度も、何度も、俺は自分の頬をつねった。
 けど、痛かった……
 痛みを、感じてしまった……
 
 ――ここは……現実……?