「もうすぐだな。……そういえば文歌の奴、最後に何かくれるって言って無かったか?」

 祭りの入り口で、散々俺に恥をかかしてくれた文歌は勿体ぶって俺に何をくれるのかを教えてくれなかった。

「えへへ、それは着いてからのお楽しみだよっ!」

「大丈夫だ。端から期待してない」

「えぇ!?」

 あの馬鹿神輿を作る様な神社でもらえる物なんてどうせ碌なものじゃ無い。
 いや……むしろ何か曰くつきのヤバいもんとか……
 最低限安全な品をお願いしたいな。
 そんな事を心の底から祈ってる内に、提灯の明かりは消え去り、優実が俺の手を握って立ち止まった。

「着いたよ、雫っ! この夢のゴール……夢叶え神社にっ!」

 優実は俺の手を引っ張って、入口の巨大な門をくぐって神社の中絵と駆け込んだ。

「いえ~~いっ、ゴ~~ルっ! やったね、雫っ!」

 はしゃぐ優美、でも俺は違う……