ユメみる夢みる僕のキセキ





 今日は、なんか疲れた。
 朝に来た道とは違う道。
 何百回と繰り返し通って来た道を何時もと同じように一人で歩き……
 高校に入ってから一人で住んでいるマンションの前に着いた。
 俺はオートロックを開けようと鍵を入れている右のポケットに手を入れる。

「無い?」

 どこか違う所に入れたのか? 全身のポケットに手を入れかき回すが…どこにも入っていない。見つかったのは…見覚えのない携帯電話だけ。
 ……携帯電話なんて買った覚えがない。
 しかし、今はそんな事どうでもいい。携帯を元のポケットに入れ。鍵をどこかで落としてきたのかと思い、歩いてきた道を戻ろうと振り返った。
 そこで、俺の目にまた信じられないモノが飛び込んできた。
 郵便物を入れる為にマンションにはよくある小さいポスト。そこの前に書いてある部屋番号そして、その横にある住居者の名前。そこには『四〇五号室・鈴木次郎』と書いてあった。
 何だこれは!? それを見た瞬間、朝からの苛立ちが爆発し、横にあった管理人室のドアを思いっきり蹴り飛ばし座っていた管理人の胸倉を掴んだ。

「おい、何で俺の部屋の表札が知らない奴に変わっているんだ!」

 耳元に大声で叫ばれた管理人は驚きと恐怖で震える声で「放してくれ!」と言っているがそんなもの構っていられない。

「四〇五号室は、俺が住んでるだろ、誰だ鈴木次郎って奴は!」

「ま、まってください!? 鈴木さんは、ずっとここに住んでいる人ですよ!」

「なに…?」

 ふざけるな。そう言おうと思った。しかし、自分を見て怯える管理人の姿を見て、嘘じゃない事がわかった。俺は掴んでいた手を放し、「悪かった」と一言謝り、そのまま住んでいたマンションを出て歩き出した。
 朝起きると、見た事もない家に居て、知らない女に振り回され、知らない夫婦が学校の見送りをして…学校では…友達なんて望んでもいないモノまで。
 どいつもこいつも……

「俺に構うんじゃねぇぇぇ!!」

 昨日まで住んでいたマンションから出て見える景色は、何時もと変わらない。
 ただ……世界が俺を置いて変わってしまった様だった。
 俺はもう……一人になれる居場所すらも、失くしてしまった。