ここは何処だ?
 訳も解からず、俺は辺りを見回した。
 沢山の黒い服を着た大勢の大人たちが、列を並べて建物の中に入っていくのが見える。
 これは、葬式だ……

「……かわいそうにねぇー。あんな小さい子がいるのに」

「あの子、一体誰が引き取るの?」

「親族の方達、皆して押し付け合いらしいわよ」

 建物の中には大人たちの話声がまるで虫の鳴き声のように飛び交っている。
 その話声の中心には……1人の子供が居た。
 ソレを見た時、理解した。
 ああ、これは夢だ。
 あの日、両親が死んだ日の……
 そう思った瞬間、急に辺りが真っ白になり、その後いつもの布団の中にいる感覚が体中に広がり、夢は覚めた。