予約表を受取ったまま
固まってしまった私を
田原先生が覗き込む。


「大丈夫、
 検査入院だから」


そう言って先生は
私の肩をなでた。

先生の提案に
拒否はできない。

拒否した時点で
私は死んでしまうから。


「…わかりました」

「じゃあ、来週ね」


重い足取りで家に帰る。

でも
まっすぐ帰りたくなくて
駅でちょっと寄り道。




と、

偶然見かけた
見覚えのある人。

道重くんだ。

そういえば
もうそんな時間。

部活も終わって
帰り道かなぁ…


あれ?

今日は

自転車じゃないの?