――――――序 章――――――


 私が幼い頃から描いた夢、シスターとなる事。

 でも私は、修行に来たチャペルで、運命の出逢いをした。

 牧師・日下部太陽――
 私に恋を教えてくれた人。

 父親が牧師をしていた事もあってか、尊敬の意は持っていた。

 恋は突然。
 でも、夢は捨てる事になる。

 シスターとなる夢を諦める覚悟を決めれたのは、残念ながら彼ではない。

 この物語の主人公となる、愛娘のお陰だった。
 後悔――
 私はしてない。


 19XX年、3月20日、私は長女・ルカを出産した。
 この子は、私の天使と呼べるべき存在となる。
 “お姉ちゃんなんだから”と、叱る前に、年下を可愛がり、人の心を大切にする子だ。

 19XX年、5月1日、次女・ワカを産んだ。
 ワカはしっかりとした、素直な子供で、私より現実を見る子。
 自分の手で立ち上がる子。
 私はこの子を誇りに思い、我が道を行きたいように進ませた。
 もし、私が人生に後悔と呼べるモノを残すとすれば、ワカにもっと愛を注げば良かった。