「春樹、飲み物が欲しいわ」

「かしこまりました」


そう言って春樹は、恵理夜のもとを離れた。

そしてその時、オーケストラの演奏が止まり、ソロのピアノ曲が流れ始めた。

弾いているのは、淡いグリーンとホワイトのドレスを着た女性だ。


恵理夜は、音楽を背に静かに大広間を出た。