「ええっ!じゃあほんとに魔物だったんですか!?」

 エヴァが素っ頓狂な声をあげた。

「…エヴァ様。魔物に違いないとか主張していたのはどこの誰だ」

「えっ、いえ、そのう」

 エヴァが目を泳がせた。…まったく、わかりやすい。


「…でも、どうして?前従者さまも言ってましたけど、時期がおかしいですよ?」

「捕まえて聞いてみればいいだろう。行くぞ!」

 言うなりアーサーは部屋を出た。

 あの魔物のせいでいらぬ恥をかいてしまった。アーサーの逆恨みは深い。

 必ず退治する…そう決意をあらたにし、アーサーはきっと前を見据えた。

「じ、従者さま、待ってくださいー!」

 エヴァが必死に追い縋る。

 アーサーは、普段は小柄なエヴァに合わせて歩調を緩めているのだが、それすら今は忘れているかのようだ。

 自然と小走りになるエヴァの後ろ姿を見つめながら、シュリは首を振った。

「…従者。退治するはいいが、あやつがどこにおるのかわかっておるのか」

 その静かな声に、アーサーはぴたりと足を止めた。