「…今、なんと?」

 アーサーも耳を疑った。

「ですから、シュリを質屋さんに預けるんです!聖剣ですもの、高く引き取ってもらえますよ。それで、夜遅くにシュリが人型シュリを出して、本体抱えて帰ってくるんです!!」

 どうだ!と言わんばかりのいい笑顔である。


 アーサーとシュリは顔を見合わせ、

「…シュリ、どうしてこんなのをあるじに選んだんだ」

「我も今まさに後悔しておる。せめておぬしにすればよかった…」


「えー、だめですかあ?シュリも戻ってくるしお金も手に入るし、いい考えだと思うんですけど」

「…あのな」

 シュリがぐったりしながら言う。

「我は本体があるじの手元になければ自由に動けぬ。…というかあるじ、本気で我を質草にするつもりだったのか…?」

 アーサーも続いた。

「だいたいそれは犯罪だ、エヴァ様」


 寄ってたかって否定され、エヴァはしおれてしまう。

 アーサーとシュリも疲れきって黙り込んだ。

「…もうここで夜を明かしてもいい気がしてきた」

 アーサーがうめく。

「おい、従者!しっかりせよ!おぬしがへたったら誰があるじの暴走を止めるのだ!」

「…エヴァ様?…シュリ、なんとかしておいてくれ」

「い、嫌だ!我を置いていくなー!!」


 空虚な会話を続ける二人の横で、エヴァがぽんと手を打った。

 二人は戦々恐々と見守る。

 エヴァはいそいそと鏡を取り出した。