それから半年以上が過ぎ、
また巡りきた春の季節。



あたしは生まれて初めて健都とクラスが離れた。







「寂しい゙ー」


「はいはい、俺は17年ぶりに身軽だし☆じゃ!」


「馬鹿健都ー!!!!」




健都は優秀だったからA組に。
あたしは………F組。

廊下の1番端っこと端っこ。

すれ違うこともないだろうなぁ。





なんだかんだ、健都に彼女ができてもあたしたちの関係は変化がなかった。

それは多分、健都とあたしが同じクラスで健都の彼女は違うクラスだったから。



あたしのことをこれっぽっちも女と見てない健都にしてみれば、

彼女にあたしのことを悪く言われ(例えば、「あの女、ベタベタしすぎ!」とか。)
たとしても。やましいことは一切ないから逆ギレでもするんじゃないかというくらいイライラしていたし。


そういう意味ではラッキーだった。






ピンポーン



始業式のあと、今日は笹崎家のお父さんお母さんが仕事で遅いらしく、うちの夕食をおすそ分けに行くお使いをお母さんに頼まれた。




「はいはーい!」


「お!開都久しぶりぃ!!」


「みきちゃーん!」


まだ声変わりもなく、成長期も迎えていない中2の開都に迎えられ、リビングにお邪魔し夕飯を温める。




「あれ?健都は??」


「帰ってから部屋に引きこもってるよ、多分!」


「そっかぁ、呼んでこよっかな」


「なんか暗かったから後でいーよ!!俺、今日このあとサッカーの練習だから…みきちゃんとご飯たべたいな。
それからじゃ、だめ?」




かっかわいい!!

とにかく小さいころの開都はいちいちあたしのツボを知ってるんじゃないかってくらい可愛くて。

昔からおねだりされるとNOを言えなかった。






「うん、わかった!じゃあ食べよっ!」