「俺はもう、長くない。それにここを出たら生きていない、そんな気がする」 「え……」 「死ぬなら、その先に救うべき人を出来るだけ助けてくる。うっかり寝過ごしてしまう前にな」 その顔を見たとき、大熊は自分を恥じた。 (僕はこのまま逃げるだけで本当に良いのか?)