辻斬り

「お前、俺のことどう見える?」
「お、おまわりさん……」
大熊は見たままに答えた。
「おまわりさんに、見えるか?」
大熊は首振り人形よろしく無言で、うんうん、とうなずく。
「そうか。俺もあの時うっかり眠らなきゃ、正義の味方だったかもな」
「え?」
「なあ、聞いてくれるか? 今伝えなきゃ、この先誰も聞いてもらえそうにはない、俺の過去の話だ」
「は?」
戎徒は自分のことを大熊に伝えた。大熊はわけのわからないままにそれを受け入れる。