「ひっ」 何かが足を掴んだ。気が動転し、その場でばたばたしながらそれを振り払おうと必死になる。 「な、なんなのよ、なによお!」 足元が良く見えないせいか、草むらに足がとられたのだと、そう思っていた。 だが、実は違った。 ――いたい、いたいよお。 心細い声だった。だけどさっきまで良く聞いていた。