灘は提案した。 「明日、帰るぞ。こうなってはもうまともに過ごせやしないだろう。今日一晩ここにいて、歩いて山を降りる」 「歩いてっ? 車は?」 「乗り捨てるしかないだろう」 「僕は反対だ」 紀伊は灘の提案に真っ向から対立した。