辻斬り

道沿いの花々が揺れる。
揺らぐ花々にあゆみは不安な心を重ねた。

――私、いつもこうだ。どこにいたって。

あゆみはめぐみたちの輪の中にも入れず、勝手に次に殺されるのはお前だと祭られ、でもそれに反抗するわけもなくただ淡々と、事態の整理に勤しんでいた。傍に咲いていた蝦夷菊をつまみ、それでへたくそな花輪を作りながら。

(理人君のこと、メールの犯人が私だって思われたらやだなー)

理人の死の際のことを、あゆみは恐る恐る振り返る。
それは、私たちの中にいないはずの男の声で始まった。

「…何てことだ」

真っ先に車に辿りついたあゆみが聞いたのは、驚きの声だった。あゆみは声の主が何者かそっと見ようと身をかがめた。