辻斬り

理人の口には木の杭を捻じ込まれ、窒息させたかのように見て取れる。
掌には「／」の印が深く刻まれていた。

「こんな状況だと、恐怖も喉元を簡単に通り越すな」
「かわいそうと思われない辺りが、なおさらな」
「まったくだ。悲鳴のひとつも上げてもらえないとは……」
「濃い顔の割に、影薄かったから――」
「——やっぱ内部犯行かな？」
「冗談よしなよ、そんな…」
「…なんてさ」

鴻上や紀伊はめぐみたちから沸き始めた会話を立ち聞きしながら疑惑を浮かべる。