辻斬り

「僕、パソコン、パソコンがあ……」
「パソコンが何よお!」
「し、調べたいことがあるんです。今起きていることがいったいなんなのか、とにかくネットとかで……」
「何で今まで何もやってないのよ!? う―――! 黙ってパコパコやっておきなさいよバカっ!」

…言われたい放題だ。

車まで行けば、電源もあるし、いざとなれば逃げ出せる。
一分一秒もいられないこんなところでは。
早く、早く逃げ出さなければ。
車まで着けば、黄泉には送られまい。
とりあえずそこは、安全なはずだった。

「いやああ!」

あゆみの叫び声が、僅かに響いた。