岬は学校に向かう途中の車の中で電話をしていた。












『おはよう麗華。昨日はよく眠れた?』

《…おはよう、ゆ…みさき…。

 全然眠れないわ…。ようやくドラマの撮影終わったのに…》

『クスクス、昨日くまが酷かったからねえ…。
 メイクで隠すの大変だったんだよ?』

《はいはいすみませんね…》

『んで、麗華。

 お疲れのとこ悪いんだけど、君に仕事を頼みたい。』

《テレビ?プライベート?》

『プライベート』

《…良いんだけど、午前は嫌よ?

 私寝たい》

『分かってるって。

 4時に、三城-ミキ-が迎えにいく。』

《…了解》













携帯を閉じて笑みを浮かべる。
そして、学校の門が見えたところで僕は三城さんに話しかけた。















『三城さん…?』

三「はい」

『今の僕、どんな風に見える?』

三「……とても、楽しそうに見えますよ。」

『クスクス、ありがとう。


 僕ね…スッゴク楽しいよ、今…!!』

















顔を片手で覆い、肩を震わせて笑う。
三城は、ミラー越しにその様子を見たあと、すぐに車道に目を写した。
















三「着きました。岬さま。」
















三城が車を止め、出る。
そして僕の座っている側の扉を開けた。















『ありがとう』
















風が頬を撫でる。



岬は、ニヒルな笑みを浮かべて歩き出した。
























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