雪は草履を履き、門の近くに立った



雪は目を閉じ、門の近くの塀にもたれた


暫くそうしていると、外が少し騒がしくなった


誰か大人数で帰って来た様だ。


雪の唇が薄く弧を描く

そう、芹沢達が帰って来たのだ。



雪は夜、大和屋に火を放ちに芹沢等が動く前に、大和屋から一旦戻って来た芹沢を静めようと考えたのだ




雪「芹沢局長、おかえりなさい。大人数で何処へお向かいになっていたのですか?」



雪はごく自然に演じて言った



芹「おぉ、雪か!……実はな大和屋の奴等、貸し金を断ったのだ。天誅組には貸し金を出したと言うのに」


芹沢は雪に気づくと、厳つい顔を向け、愚痴る様に言った

その声は怒りが滲み出る様な声質だった


雪「(かなり頭に血が昇っているな……)そうですか」