【完】優しい彼の温もりに包まれて

「沙穂ー?沙穂ー?」


遠くから男の人の声が聞こえる


「あっ、お兄ちゃん!!」


沙穂ちゃんが近寄って行った男の人を見てあたしはその場に固まってしまった


「瑠…夏?瑠夏だよな?」


どうして貴方が此処に居るの?


そう、目の前に居るのは屋上でお世話になったあの人だったから…


「お兄ちゃん、このお姉ちゃん知ってるの?」


「あぁ…まぁな」


「どうして?貴方が此処に?」


あたしは小さく呟いた


「沙穂は俺の妹なんだ。寝かしつけに来たのにはぐれてさ…」


「そうなんだ。見つかって良かったね。じゃあ、あたしはこれで」


あたしが立ち上がり荷物を持って足を進めようとした時…


「何処行くんだ?こんな遅くに…」


咄嗟に腕を掴まれた