【完】優しい彼の温もりに包まれて

「他の子を触った手で瑠夏を触らないで」


「なんでだよ?彼女だから良いだろ?」


「瑠夏、泣いてたんだよ?強がるのは丈瑠君が1番知ってるでしょ?」


……あぁ、知ってる


「咲那ちゃんや美貴ちゃんのことがあるから丈瑠君に傍に居て欲しいはずだよ?」


“なのに瑠夏を裏切るの?”と呟いた捺稀は泣いていた


俺は何も言えなかった


「あたし、1回教室に戻るね」


捺稀はそれだけ言って荷物を置いたまま必要最低限のものだけ持って去って行った


俺は近くにあったパイプ椅子に座る


苦しそうにしているのが見て取れた


俺は頭を撫で続ける


「…ん?」


「起きたか?」


「なんで居るの?来なくて良かったのに…」


そう呟くと瑠夏は顔を背けた