ちょっと、せっかく思いついたところだったのにー! と思いつつ、イヤホンを外し振り返ってみると。 「こんにちは。貴也のバンドの子だよね?」 茶髪のツンツンヘア、少し腰ばきした制服のズボン。 どっかで見たことあるような……。 「あ、軽音楽部の!」 「そうそう。今度のライブよろしくね」 そう言って、ツンツンヘアは目をキラキラさせながら、 手を差し出してきた。 「はい、よろしくです……」 あたしも手を差し出し、ツンツンヘアと握手をした。 少し触れた指先が硬かった。