昼間なのに人がぎゅうぎゅうに詰め込まれた店内。

まわりのお客さんたちの間では、たくさんの関西弁が飛び交っていた。


追加注文を何にしようか迷っていたら、


「お、ほら、あのCMやってるじゃん」


と言って、ゆーたは店内に設置されている大型テレビを指差していた。


画面に映し出されているのは、

この秋から始まった、新しい清涼飲料水のコマーシャル。


人気急上昇中の若手女優さんが、そのペットボトルの飲み物を爽やかに飲んでいる。

そのBGMは、可愛らしいのびやかなボーカルと、変拍子が混ざった激しい演奏。


画面右下には『歌:山吹色の夢』とクレジット表示されていた。



「あーあ、もしかしたらあそこにSTARFISHって書かれていたかもしんねーのになー」


つまようじを咥えながら、ゆーたがそう呟いた。


「でも、あたしはこれはこれでアリだと思うけど。めちゃくちゃCMに合ってるし」


とあたしが口にすると、


「ばーか! いつかは俺らもあーなるんだよ。このクソデブが!」


と王子に再び怒られ、スパコーン、とメニュー表で頭をぶっ叩かれた。

あいたたたた……。