「美緒さんの歌、キモくないです。やっぱりあたし美緒さんの歌、単純に好きです」
カナタちゃんは座りながら足をのばし、そう呟いた。
「え……あ、その」
全く想像していなかったことを言われ、あたしはテンパって言葉が詰まってしまった。
ステージ方面では、お客さんたちの拍手と歓声の音が響き渡っている。
ちょうどハセバンのライブが終わったようだ。
ライブが終わり、飲食コーナーに移動してくるお客さんの列が見えた。
もう1バンド、ゲストの演奏が残っているけど、
だんだんと今日の結果発表の時間が近づいてきている。
「でも、バンドメンバーだからって、やたらと貴也様に近づこうとするのはダメですからね!」
カナタちゃんはそう言って、ようやくあたしの顔を見据えてくれた。
まわりのライトがカナタちゃんの顔に影を作っているけど、
その目には光があり、軽く頬を膨らませた表情も可愛いらしかった。
ようやく普段のカナタちゃんに戻ってくれたことと、
相変わらず王子ラブであることが、嬉しかったしちょっと面白かった。
「あははは、大丈夫だよ! STARFISHはバンド内恋愛、絶対禁止だから!」
あたしがそう言うと、カナタちゃんもようやく口角を上げてくれた。

