「あ……カナタちゃんだ」
みんなを見つける前に、飲食コーナーのベンチに座っている黒髪&黒ワンピースの女の子が目に入った。
そこに近づくと、カナタちゃんもあたしに気がついたようで、長い睫毛を伏せた。
既に空は暗くなっているけど、
出店やステージ方面からのライトがあたりを照らしている。
あたしはカナタちゃんの横に腰をかけた。
「ライブ、見てくれたんだよね? ありがとう」
お客さんの群れの奥、ピカピカとカラフルな光が舞うステージを眺めながら、あたしはお礼を言った。
ちょうどハセバンは、月9ドラマの主題歌になったこともある有名な曲を演奏していた。
AメロBメロはポップな感じなんだけど、サビは少しセンチメンタルなコードとメロディになっている。
まともに聞いたのは初めてだけど、すごくいい曲だなぁ。
そう思いながら曲に合わせて頭を揺らしていると、ようやくカナタちゃんは口を開いた。
「あの、この前ひどいこと言ったやつ……半分取り消します」
「え?」
えーと。
この前って、理科室前トイレでのことだよね。
確か、言われたことは、『おめーの歌なんかキモイんだよ! 調子に乗ってんじゃねーよブス!』だった。
半分取り消す、ってどういうこと?

