「やべ、もうすぐタンジェント60じゃん。そろそろステージ見に行くべ!」
「おーもうこんな時間ですね! 行きましょう~!」
そう言って、ゆーたと良夫さんは走って楽屋から出ていった。
待ってよ~、とあたしも2人を追いかけようとしたけど、
「美緒。お前に言うこと思い出したわ」
と王子に呼び止められる。
「へ?」
振り向いた瞬間、あたしの体は急に王子のもとに引き寄せられた。
「…………」
そのまま、驚く間もなく、
あたしの耳元に甘い囁きが落とされた。
「……えっ!?」
ズッキュゥゥゥン!
その言葉を聞いた時、思考は全て停止し、
心臓から沸騰寸前の血液が体中にめぐっていった。
やばい……立っていられないんだけど!
ガタガターン、とあたしは腰を抜かして、その場に倒れこんでしまった。
「ちょ、お前、なに腰砕けになってんだよ」
そう言って、王子はケラケラと笑っている。
だ、だって……だって!
「ほら、俺らも行くぞ」
王子は100000000ドルの笑顔を向け、あたしに手を差し伸べた。
「は、はいっ!」
その眩しすぎる笑顔にも顔を熱くさせられながら、
あたしはその大きな手を強く握った。

