「うーわ、まじめんどいコイツ。追っかけには追っかけのマナーがあるんだよ」
そう言って、リーダー格っぽい派手な女子が、カナタちゃんの肩を小突いた。
「……っ!」
カナタちゃんは、高いヒールの黒いエナメルの靴。
バランスを崩し、後ろによろける。
ってか、ここは呼び出し定番の体育館裏じゃありませんからー!
「わわわわ、ちょっとちょっと!」
急いで、あたしは手刀を切りながら、
カナタちゃんとベイビーたちの間に割り込んでいった。
「……!?」
その場にいた全員が一斉に驚いた顔になっていた。
「あははは、この子ちょーっとやりすぎちゃう時あるんだよね。友達のあたしがガツンと言っておくから!」
そう言って、あたしはカナタちゃんの長袖の腕を掴み、
じゃーライブお楽しみにー! と言い捨て、走ってその場を去った。

