でも、最初はステージ真ん中でこじんまりと歌っていたのに、

次第にどんどん前に、お客さんに近づいて行って、

モニターやステージ前の手すりに足をかけて、あたしは懸命に歌っていた。


しかも、間奏で『あーーーーーー!!』ってシャウトまでかましているし。


お客さんもこの頃は、フロアの3分の2くらいしか埋まっていない。

あたしの動きもぎこちないし、演奏もアレンジも今よりまとまっていない感じ。


でも必死だ。

音を届けるために、4人でもがいている様子が伝わってくる。


今でも、きっと変わらない。



『僕はSTARFISHが――4人で奏でる音が大好きですから』



気がつくと、あたしも映像に合わせて、曲を口ずさんでいた。


良夫さん、ありがとうって思いながら。




2枚目は――


「えあ、じゃむ? ……なにこれ? しかもビデオじゃん」

数年前に行われた、大きなライブイベントの模様が収録されたビデオらしい。


パッケージを開けると、


『とりあえず見て暴れろ!!』


とゆーたの汚い字で書き殴られたメモが入っていた。


メモの通り、とりあえず、せんべいをボリボリ食べながら、

押し入れから取り出してきたテレビデオを使って、映像スタート。


へぇ~。大きな野球場が会場になっている。


って。

うわあああああ! なんじゃこれ!


盛大に口に入ったせんべいを吹き出してしまった。