心地よい風があたしたちを包む。
王子のうねった髪の毛がそよそよと揺れている。
あたしの髪の毛もさらりと風が進む方向になびく。
ふと、自分の髪の毛がなびいた方向――風が向かう先に視線を移した。
え――!?
閉めたはずの屋上の扉が開いている……。
どっくん。
どっくん。
どっくん。
急にあたしの心臓は嫌な鳴り方をした。
ごくり、と唾を飲むと同時に、屋上の奥。
風に吹かれた長い黒髪が王子越しに見えた。
スカートから伸びる青白い足が
明けられた扉の横で、棒のように立っている。
その表情は見えないけど、口は半分開けられたままだ。
「あ……!!」
あたしは急に声にならない声を発した。
「ん?」
王子もあたしの異変に気づいたらしく、顔を上げた。
やばい!
どうしよう!
屋上の入り口には、
あたしたちをぼーっと眺めている、
カナタちゃんの姿があった。
よりにもよってカナタちゃんに見られた!

