「でも、王子こそ、疲れてるんでしょ?」
「……ゆーたに言われた。オレはおめーとバンドやりたいけど、迷いがあるおめーとはやりたくねー、って」
「迷い?」
「あいつ、たぶん知ってんだな」
ちっ、と舌打ちをしながら、王子がそう呟く。
直射日光により、あたしたちの影はくっきりとコンクリートに映し出されていた。
王子の影が少し縮こまったと同時に、あたしの影がぐっと揺れる。
「……やだ! 王子も何か事情があるかもしれないけど。あたしは王子と一緒にずっとSTARFISHやっていきたいよ!」
あたしは大声で王子にそう訴えていた。
手をぐっと握ると、そこを中心にして制服のスカートに皺ができた。
しーん、とした空間だけど、
グラウンド方面から生徒たちの声がかすかに聞こえてくる。
すると、王子は下を向いたまま、
「美緒……」
と言いながら、あたしと向き合うように座りなおした。
そして、あたしの肩に額を乗せてきた。
ええええええ!?

