ゴールデンウィークが明けてから1週間がたった。

屋上の扉を開けると、爽やかな青空と涼しい風に包まれる。


もちろん授業が始まったため誰もいなく、

屋上にはコンクリートの床が広がっているだけだ。



『ほら、何でもいいから歌ってみろよ』

と、王子にすごまれながらここで歌ったのは、ちょうど去年の今頃。


あれから1年、経ったんだ。


ワクワクして楽しくて、そんな毎日を過ごせるようになったよ、って、

あの頃のあたしに伝えてあげたいな。


なーんてしみじみしていたら、


「はーあ」


とため息をつきながら王子はタバコをくわえ、ライターで火をつけていた。


「お、王子! タバコ吸ってたの!? てか未成年は吸っちゃだめだよ!」


「あ? いーだろ。俺様にも時には休憩が必要だ」


屋上の中心にて。


去年と同じようにだらしなく胡坐をかきながら、

王子は口から煙を吐き出す。


あたしはその隣にちょこんと座る。